破損の原因調査(破損解析)

ガラス製品の破損解析では、製品破損の直接原因である「何が原因で割れたか」の情報から、製品表面の付加キズの有無、異物や製造上の欠点、製品不良等が判ります。さらに、破損や破断を引き起こした力である「どのようにして割れたか」の情報より、取扱い上の不備、残留ひずみや製品不良等が判ります。

1.普通のガラス製品の破損調査

普通ガラスとは強化処理が施されていない製品です。商品には、a)コップ皿等の台所用品、b)びん類c)窓ガラス等の建築材料、d)液晶などの電子部品、などが存在します。
以下に、破損の原因調査の手順の一例を示します。
①バラバラになったガラスの破片を組み立てる事によって、元の形状を復元します。
②復元品の破面の進展模様を解析し、「どのようにして割れたか」を推定します。
③破片中の破断面を調べる事によって、破壊起点(Origin)を推定します。
④破壊起点を解析し、「何が原因で割れたか」を推定します。
破断面のリブマーク 破壊起点と近傍の特徴的な形状

-破断面の形状と解析用語-
①破壊起点(Origin)
②破壊起点から進展したクラック(Crack)
③鏡面域(Mirror area) 破壊起点を含む鏡のような領域
④リップルマーク(Ripple marks) 破壊起点を始点にした破面形状
⑤ウォルナー線(Wallner lines) 弾性波が進んだ方向を示す破面形状
⑥灰色域(Mist) すりガラス状に見える領域
⑦ハックルマーク(Hackle marks) 繊毛状の粗い凸凹面
⑧リブマーク(Rib marks) 弾性波が進んだ方向を示す破面形状
⑨ドエルマーク(Dwell marks) 弾性波の一時停止線
⑩その他 スタークラック、ヘルツコーン、白化現象等
※参照する文献によって用語が異なる場合があります
復元ガラス皿(鋼球落下) 復元ガラス皿(衝撃貫通)
破壊起点(表面キズ) 破壊起点(白化現象)

2.強化ガラス製品の破損解析

全面物理強化ガラス製品が破損した場合、ガラス全体が一瞬にして細片になって壊れます。これは、破損の際にキ裂が伸びる速さが1,500m/sと、音速の4倍強のためです※)。
(※ガラスの破壊の限界速度:「ガラスハンドブック」、朝倉書店、p675.)
強化ガラス製品の破損解析の対象商品は、a)ガラス製なべ蓋、b)強化ガラス製品の表示がある一部のコップ等の食器類、c)レンジや照明器具の保護窓等のガラス材、d)ドアや窓ガラス等の建築用ガラスe)自動車や電車等の窓ガラス、等です。
強化ガラス製品の破損の原因調査では、全ての破片を調べて、破損原因に対応する特徴的な形状が保持されている破壊起点を特定します。
※破損解析では、回収率が重要です。例えば、φ30cmのなべ蓋の場合、破片は3000個以上ですが破壊起点は2個だけです。破片回収率が10%未満でも、破壊起点が回収できれば原因が判ります。ただし通常は、回収率が大きいほど破壊起点が含まれている可能性が高いため、解析では高い回収率を望みます。

回収率=ガラスの回収総重量÷製品中のガラス重量

破壊起点(金属接触) 破壊起点(表面キズ) 破壊起点(端面キズ)
破壊起点(異物:NiS) 異物(NiS,SEM像) 異物(NiS,EDX分析)

3.建築材料としての板ガラスの場合、現地での作業にも対応しています

窓ガラスや建築材料としての板ガラスなど、対象試料が大きい等の理由で製品全体の持ち込みが困難な場合でもご相談下さい。
①現場での確認や破壊起点の採取が可能な場合があります。出張等の現地対応も承っておりますので、ご相談下さい。
②立ち会いの下での現場サンプリングにも対応しております。

お問い合わせ先

■大阪事業所 ガラス製品試験センター

〒578-0921 大阪府東大阪市水走3丁目6番14号
TEL:072(968)2227 / FAX:072(968)2221 / E-Mail:glass-osaka@mgsl.or.jp

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